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いまさら聞けない!空き家対策特別措置法(空き家法)をわかりやすく解説

いまさら聞けない!空き家対策特別措置法(空き家法)をわかりやすく解説

2015年に「空き家対策特別措置法(空き家法)」が完全施行されました。
内容は管理されていない空き家に対して、罰金や増税、最終的には強制撤去も認めるというものです。
空き家を所有している人や、これから空き家を相続する予定の人にとっては気がかりとなる法律ですよね。
でも法律となると概要を見ても「難しくてよくわからない」という人が多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、気になる空き家法についてわかりやすくまとめました。

空き家対策特別措置法とは何なのか

空き家対策特別措置法(空き家法)をかんたんに一言でまとめると、「空き家の管理をしっかりしないと罰則を与えるよ」という法律だといえます。
この法律ができた背景には、

  • 放置されボロボロになった空き家が増えて地域の景観が悪化した
  • 近隣住民からのクレームがトラブルに発展するケースが増えた
  • 自治体の力だけでは問題解決ができない
  • 今後も空き家が爆発的に増えそうだという見解が示された

といったことがあげられます。
この問題を解決するための対策として2015年5月に施行されたのが、「空き家対策特別措置法(空き家法)」です。

空き家対策特別措置法で変わったことは3つ

3つのこと

では空き家法によって具体的に何が変わったのでしょうか?
主な項目は以下の3点です。

  1. 空き家に対する行政の権限が強くなった
  2. 空き家がある土地でも税金の軽減措置が適用されない可能性が出てきた
  3. 改善されなければ強制的な解体もあり得る

それぞれ詳しくみていきましょう。

空き家に対する行政の権限が強くなった

空き家法が施行されるまでは、周囲に迷惑となるような空き家であっても、行政指導や処分はもちろん、空き家の調査をすることでさえできませんでした。
そのため空き家の所有者が誰なのかもわからず、地域にどれだけの空き家があるのかその実態を把握することもできなかったのです。
そこで空き家法では、調査や行政処分などができるように各自治体に以下3つの権限が認められています。

  • 空き家の所有者や状態などを調査する権利
  • 問題のある空き家に対して行政指導・処分をおこなえる権利
  • 改善されない空き家に対して強制的に解体することができる行政代執行の権利

これによって空き家の所有者の特定や、建物の実態を調査できるようになり、問題のある空き家に対して段階的な措置がとれるようになりました。
つまり、問題のある空き家を放置することができなくなり、何らかの対処が必要になったというわけです。

空き家法では税金の軽減措置が適用されない可能性が出てきた

空き家であっても建物があれば税金が安くなります。
固定資産税は1/6、都市計画税は1/3と大幅に支払う税金を抑えられるのです。
誰だって支払う税金は少ない方がうれしいものですよね。どんなにボロボロでも建っていれば税金が安くなるなら取り壊さずに放っておいた方が得と考えるのが一般的です。

この税制度は結果的に倒壊寸前の空き家を続出させ、放置された空き家が社会問題になる事態に発展しています。
そこで空き家法では、問題のある空き家に対して「軽減措置を外す」というルールを作りました。
軽減措置の適用外となると支払う税金は一気に6倍にもなります。
これまで税対策のためにとりあえず持っていた空き家は、そのまま置いておくことができなくなったのです。

改善されなければ強制的な解体もあり得る

許されない

問題のある空き家に対して、行政が指導や処分をできるようになったのが空き家法の特徴です。
その最たるものとして、強制的に建物の解体をおこなえる行政代執行という権利があります。
指導や命令をしても改善されなければ、建物を強制的に解体してかかった費用を所有者に請求するものです。
ただし行政代執行はすべての空き家に対してすぐ実行されるものではなく、4つの段階を経てからの措置となります。

指導から強制解体までの流れ

空き家法の行政指導や処分は以下の4段階に分かれます。

  • 改善への助言と指導
  • 勧告→固定資産税・都市計画税の軽減措置がなくなる
  • 命令→従わない場合は50万円以下の罰金
  • 行政代執行→強制的に解体もしくは修繕

助言や指導がされた時点で改善をしなければ軽減措置の撤廃や罰金などが科せられるため、早急な対応が必要です。

空き家の放置は許されないのが空き家対策特別措置法

ではすべての空き家に対して、指導や助言がされるのかというとそうではありません。
指導の対象となるのはあくまでも問題がある空き家です。
自治体が調査し、危険度の高さや周辺への影響から「特定空き家」と指定された空き家が対象になります。
では特定空き家と判断される条件とはなにか?以下でみていきましょう。

特定空き家となる4つの条件

特定空き家の定義は以下の4つの状態です。

  1. 放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

※出典:国土交通省「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(https://www.mlit.go.jp/common/001090531.pdf)

ガイドラインでは上記のように書かれていますが、かんたんにまとめ直すと、「倒壊する可能性が高い」「ゴミの不法投棄で異臭がするなど衛生上よくない」 「ボロボロに建物が壊れている」「放置しておくと放火や犯罪の温床になる」といった内容になります。
つまり、「放置されたボロボロの空き家」が対象ということです。

特定空き家にならないためには管理が決め手

空き家法では特定空き家に対して、最終的には強制撤去も辞さない内容となっています。
剥がれ落ちた壁や屋根を修繕したり、庭木や雑草の手入れをしたりして適切に維持する必要があります。
特定空き家の条件は「ボロボロの空き家」であることなので、しっかりと管理さえされていれば指定対象にはなりません。

売却中でも管理が必要

買い手に解体をしてもらうことを条件にした売却方法もありますが、売却中は所有者に管理責任があります。
売却予定だからといって放置することはできないので注意しましょう。

空き家を相続したときの注意点

空き家を所有するきっかけとしてもっとも多いのが、相続による取得です。
国土交通省の調査によると、相続で取得した割合は56%にものぼります。
では相続で空き家を持つことになったら、どのような点に注意するべきでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

早期決着を目指す

不動産の価値は年数の経過とともに、どんどん下がっていきます。建物自体も劣化してしまうため、時間をかければかけるほど修繕などで費用負担も大きくなりがちです。
とくに売却するのであればなおさら、早期決着が大切なことはいうまでもありません。

相続を放棄しても管理義務はすぐなくならない

よく勘違いしてしまうのが、「相続放棄をしたら管理しなくてもいい」ということです。
相続放棄をしたからといって、すぐに管理義務までがなくなるわけではありません。
民法940条では次のように記載があります。

“相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない”

つまり次の相続人が管理を始めるまでは、管理義務は自分にあるということです。
「相続放棄をしたからもう安心」というわけではないので注意しましょう。

空き家は何より管理が大事!対策は早めにしよう!

空き家問題の解決に向けて作られた「空き家対策特別措置法(空き家法)」は、問題のある危険な空き家を減らすための法律です。
空き家を所有すると、売却や活用、処分などさまざまな選択肢があります。どの選択をするにしてもそれまではしっかりとした管理が必要です。
空き家を売却するにしても処分するにしても、時間をかけるほど資産価値は低下し、その間の税金を払い続けなければいけません。ムダな出費を減らすためにも、早めの空き家対策をおすすめします。

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