現在まで年々増加傾向にある空き家。
この空き家が引き起こす問題として話題になっているのが空き家問題です。
この問題を解決するべく2014年に「空き家法」という法律が施行され、これまでより厳しく空き家の管理が追及されるようになりました。
その結果、状態によってはこれまで放置されていた空き家が行政の指導対象となることも。
では、そもそも空き家とはどのような状態にある建物のことを指すのでしょうか?
この記事では空き家の定義となる条件から、判断基準となる調査ポイント、管理上の注意点に至るまでを解説します。
近年話題の空き家問題を知る第一歩として、是非参考にしてください!
近年増え続けている空き家問題を解決するために、「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律が2014年5月に全面施工されました。
通称「空き家法」と呼ばれているこの法律では、空き家の定義は次のように記されています。
“「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。”
そして空き家の定義となる期間については指針の中で“「居住その他の使用がなされていない」ことが「常態である」とは、建築物等が長期間にわたって使用されていない状態をいい、例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となる。”
出典:https://www.mlit.go.jp/common/001284876.pdf
と記載があります。
以上を簡単にまとめると、「年間を通して使用実績の少ない建築物は空き家とする」ということになります。
これが空き家の定義です。では具体的にどのようなものが空き家の定義に当てはまるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
空き家法で空き家と定義する対象物は以下です。
住宅を含めて以下4つの種類の建物が空き家法の対象となります。
これらの対象物に1年以上住んでいない、もしくは使用していない場合は空き家と判断されることになります。
ではその判断は誰がどのようにするのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
空き家法を基にした空き家対策を効率的に行うため、各市町村によって空き家の実態調査をします。
その調査基準となるのが下記の6つのポイントです。
空き家の定義で重視されるのは利用実態があるかないかです。
例えば現在住んでいなくて郵便物が溜まっていたり、ゴミが不法投棄されていたりするような場合は空き家と判断されるケースがほとんどです。
ではここで空き家となる具体的な例を見ていきましょう。
一例として、国土交通省住宅局がどのようなものが空き家となるのか示しているものがあったので紹介します。
※「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)(案)」に関するパブリックコメントに寄せられたご意見と国土交通省及び総務省の考え方」(平成 27 年 5 月 26 日 国土交通省住宅局・総務省地域力創造グループ)より抜粋
参考:https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000129798
このような例からもわかるように使用頻度が極端に少ないものや、次回の使用が未定であるものに対しては空き家と判断される傾向にあります。
近年では空き家が増加しているという話をよく耳にしますが、実際にはどのくらいの数があって、過去とくらべてどの程度増減しているのでしょうか?
以下でその数の実態をまとめました。
下記の表は総務省が発行した「平成30年住宅・土地統計調査住宅及び世帯に関する基本集計」から引用したグラフです。
このグラフをもとに空き家の数を見ていくと、直近の2018年ではなんと848万9千戸が空き家という調査結果となっており、過去最高に至っています。
出典:http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
日本の総住宅数は6240万7千戸。それに対して空き家の占める割合は13.6%で今後も増加することが予想されます。
空き家は30%を越えると危機的状況になると言われていますが、この数値だけを見ると早くもその半分程度の数値に迫っているようです。
ただし空き家といっても、すべてが今後利用される見込みのない空き家ではなく、いくつかの種類に分かれます。
ではどのような種類があるのか以下で詳しく見ていきましょう。
空き家と一口に言ってもその種類には4通りあります。種類の詳細とそれぞれの数は下記の通りです。
その他…用途のない空き家(348万7千戸)
この中で注意が必要となる空き家は、その他の「用途のない空き家」です。
この空き家が増加すると様々な問題が発生すると言われており、2019年現在で全体の5.6%となっています。
空き家法で指導などの対象となる空き家は、上記で注意が必要と述べた用途のない空き家です。
そのうち、危険性や周囲に悪影響を及ぼす可能性が非常に高い空き家のことを「特定空き家」といい、その定義は以下のようになります。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001284876.pdf
このような定義にもとづいて各市町村が特定空き家であるかを判断します。
では特定空き家と判断されるとどうなるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
特定空き家に該当すると、まず現状把握や今後の措置の検討をするため市町村が立入調査を実施します。
その後は調査の結果に応じて、
という3段階の手続きを行うことが可能です。
指導・助言で改善がされなければ勧告・措置命令が発令され、最終的には行政代執行といって、建物の強制撤去がされたのち、その撤去費用が所有者に請求されることになります。
もちろん改善するための猶予期間が定められるため、期間内に改善されれば実行されることはありません。
もしも特定空き家と判定され、指導などを受けた場合には速やかに対応するようにしましょう。
空き家の定義は「年間を通して使用実績の少ない建築物のこと」です。
その空き家が適切な管理なく放置され続けると、周辺環境に悪影響を及ぼしたり倒壊したりする危険性を高めます。
さらに特定空き家として行政指導が入り改善されないと、最悪の場合強制撤去となることも。
そのような事態にならないためにも、今後の対策を早めに考え、日ごろから適切な管理をすることが大切です。
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